あなたは今、何冊の本を世に送り出しているでしょうか?
もしすでに数冊の著作があるなら、今回の内容は非常に共感いただけるはずです。そして、これからデビューを目指す方にとっても、将来必ず直面する「壁」を乗り越えるための重要な指針になるでしょう。
実は、「最初の本」と「その後に出す本」とでは、執筆の環境も難易度も根本的に異なります。
ここを知らないと、2冊目、3冊目に挑む際、不要な苦労や自己嫌悪に陥ってしまう可能性があるのです。
「過去の蓄積」が使えなくなるという現実

最初の本は、あなたがそれまでの人生で積み上げてきた膨大な知識や経験、いわば数十年のストックを惜しみなく注ぎ込むことができます。
しかし、2冊目以降は自分が過去に踏んだ足跡を、避けて通らなければいけません。
- 重複の回避:すでに1冊目で書いた主要なネタは、2冊目では「既知のもの」として扱わなければなりません。
- ネタの枯渇:出し続ければ、当然ながら自分の中のストックは減っていきます。
1冊目の出版で「本を書くってこんな感じか」という手応えをつかんだとしても、それはあくまで過去の蓄積をそのまま出せたケースに過ぎないのです。
「スランプ」と勘違いしていませんか?

2冊目、3冊目に取り組む際、多くの著者が次のような壁に突き当たります。
「あの時はあんなにスラスラ書けたのに、なぜ今回はこんなに苦戦するのか?」
「自分はもう、書くべきことを出し尽くしてしまったのではないか?」
これをスランプや才能の枯渇だと思ってしまうと、なかなか抜け出せません。
しかし、安心してください。それはスランプではなく、前回とは「執筆の前提条件」が違うだけなのです。
「自分は著者に向いていないのではないか」と悩むのは、少しピントがズレています。単に、2冊目以降に特化した戦い方に切り替える必要があるだけなのです。
2冊目以降のネタを見つける3つの方向
では、具体的にどう切り替えればいいのか。尽きているのは「ネタ」ではなく「切り口」です。同じ経験からでも、次の3つの方向で新しい一冊が生まれます。
① 読者層を変える
同じノウハウでも、届ける相手が変われば、まったく別の本になります。
1冊目が「経営者向け」だったなら、2冊目は「これから独立する人向け」へ。あるいは「初心者向け」だったものを「一度挫折した人向け」へ。読者が変われば、悩みの深さも、必要な説明も、響く言葉も変わります。
1冊目を読んだ読者の反応の中に、次のターゲットのヒントが隠れていることも多いものです。
② 深さを変える
1冊目が全体を広く扱った本なら、その中の1章を、まるごと1冊に展開できないかを考えてみてください。
「1冊目で3ページしか書けなかったが、本当はもっと語りたかったこと」。それはたいてい、あなたが最も熱を持っている領域です。読者からの質問が集中した箇所も、有力な候補になります。
③ 本業の外から探す
本のテーマは、必ずしも本業である必要はありません。
- 費やしてきた「時間」:20年以上続けている趣味はありませんか?
- 投資してきた「お金」:100万円以上つぎ込んで研究してきたことはありませんか?
- 深い「思い入れ」:語り出したら止まらないことは何ですか?
本業のストックは減っても、あなたという人間のストックは減っていません。詳しくは商業出版のテーマの決め方で解説しています。
1冊目の実績は、確実に武器になります
ここまで難しさをお伝えしてきましたが、2冊目には2冊目の有利さがあります。
- 企画が検討されやすい:新人の持ち込みが1000分の1と言われるのに対し、既刊のある著者は「実績のある人」として真剣に読まれます。
- 売れ行きの実績が示せる:1冊目が重版していれば、これ以上ない材料になります。
- 執筆の勘所が分かっている:分量、締め切り、編集者とのやり取り。1冊目で得た経験は、そのまま活きます。
難しいのは「企画を立てる段階」であって、企画さえ固まれば、2冊目のほうがずっと通りやすいのです。
2冊目、3冊目と本を出し続けるために

スムーズに出版を継続させるためには、「前と同じように書こう」というイメージを一度リセットすることが大切です。
2冊目以降は、また違った環境での新しい挑戦です。そう知っているだけで、おのずと初心に帰ることができ、企画を練ることにつながります。
イメージを書き換え、企画をじっくりと練り上げれば、1冊目よりもさらに深く、納得のいく本を世に送り出し続けることができるでしょう。
もし「ちょっとスランプかな?」と感じることがあったら、ぜひこのことを思い出してみてください。
よくある質問
1冊目と同じテーマで2冊目を出せますか?
同じテーマでも、読者層か深さのどちらかを変えれば可能です。まったく同じ内容では「類書がある」と判断されてしまいますが、対象を変える・1章分を掘り下げるといった展開なら、別の一冊として成立します。
1冊目が売れなかったら、2冊目は難しいですか?
不利にはなりますが、不可能ではありません。売れなかった原因がテーマの選び方にあるなら、切り口を変えることで挽回できます。むしろ「なぜ売れなかったのか」を分析できている著者は、編集者から信頼されます。
ネタが尽きたと感じたら、どうすればいいですか?
尽きているのはネタではなく切り口です。この記事の3つの方向(読者層を変える・深さを変える・本業の外から探す)を試してみてください。それでも見つからない場合は、第三者に話を聞いてもらうのが早道です。
2冊目は、1冊目と同じ出版社から出すべきですか?
必ずしもそうではありません。テーマが変われば、得意分野の異なる出版社のほうが合うこともあります。1冊目の担当編集者との関係は大切にしつつ、企画に最も合う出版社を選んでください。
出版を続けるために読んでおきたい記事
- 1冊で終わらず、2冊目、3冊目と次々と本を出すにはどうすればいいですか?
- 本を書くネタがない・何を書けばいいか分からない時の対処法
- 出版した著者さんの「その後」の2つのタイプ
- 著者として活躍できる期間を最大化するには?
- 「待つ」出版戦略|流行を追うほど、著者の寿命は短くなる?
- 重版とは?増刷との違いと、重版される本に共通する「たった1つの違い」
2冊目の企画、一緒に考えます
2冊目の難しさは、「自分の中を探しても、もう見つからない」という点にあります。1冊目で出し切った感覚があるからです。
しかし実際には、まだ書かれていないものが必ず残っています。それが見えないのは、自分の内側からは死角になっているからにすぎません。
既刊のある方のご相談も承っています。1冊目の内容と読者の反応をうかがえば、次の切り口が見えてくることも少なくありません。オンラインでの個別相談は初回無料です。
