出版企画を考えるとき、「何を書こうか」と自分の内側にばかり目を向けていませんか?
実は、商業出版で採用され、かつ売れる本を作るためには、読者・自分・ライバルの「3つの視点」を重ね合わせる作業が不可欠です。
今回は、企画の精度を劇的に高めるための「悩みの深掘り」「強みの発見」「類書との差別化」という3つのポイントについて、具体的にお話しします。
読者の悩みを深掘りする

企画考案でまず最初に行うべきは、「誰に書くか(ターゲット)」を明確にすることです。
「自己実現」よりも「不安の解消」
本を出そうとする方は優秀なため、つい「夢を叶える方法」などの高いレベルのテーマ(自己実現欲求)を考えがちです。
しかし、世の中の大多数の読者が切実に求めているのは、もっと手前の悩みです。
- 安全欲求:「リストラされないためには?」「老後のお金はどうする?」
- 承認欲求:「上司に認められたい」「周囲から浮きたくない」
こうした「今すぐ、この苦痛から逃れたい」という生々しい悩みに焦点を当て、読者の目線まで降りていくことが、本を出すための第一歩です。
自分自身の「隠れた強み」を見つける

多くの著者は、自分の本当の強みに気づいていません。
なぜなら、本人にとっては「当たり前」にできていることだからです。
強みを見つける3つのヒント
- 「えっ、そんなことでいいの?」を探す:あなたにとっては常識でも、素人の読者から見れば「新しいノウハウ」であることは非常に多いのです。
- 「弱み」を反転させる:完璧な成功体験よりも、コンプレックスや逆境から這い上がった経験が、読者の共感を生む強みになります。
- 領域を掛け合わせる:「ダイエット」だけではライバルに埋もれますが、「40代管理職 × 飲み会を断らないダイエット」のように、複数の属性を掛け合わせることで、独自ポジションが生まれます。
類書との差別化を図る

いかに素晴らしい内容でも、すでに同じような本が出ていれば、出版社から「後から出す意味がない」と判断されてしまいます。
差別化とは、「既存の本にはない、新しい読者メリットを約束すること」です。
差別化をすることにより、出版企画が通りやすくなり、出版後のブランディングも確立しやすくなります。
具体的な差別化の方法
差別化には、大きく分けて3つのルートがあります。
- ターゲットを絞る:「すべての営業マンへ」ではなく「口下手で断るのが怖い新人営業マンへ」と絞り込むことで、メッセージはより深く刺さるようになります。
- ハードルを下げる:専門用語を排除し、具体的なステップを用いることで、「今までの本は難しくて挫折したけれど、これならできそう!」と思わせる。
- 逆張りをする:世の中で「当たり前」とされていることの逆を言います。「会社は辞めるな」という本が売れていれば、「今すぐ辞めろ」という主張は、それだけで強いインパクトを持ちます。
よくある質問
3つのうち、どれから考えればいいですか?
「読者の悩み」からです。自分の強みから考え始めると、どうしても「書きたいこと」に引っ張られてしまいます。まず読者を決め、そこに自分の何が使えるかを探す順番が確実です。
ターゲットは絞りすぎても大丈夫ですか?
描写は具体的に、市場は大きく——この両立が理想です。「口下手で断るのが怖い新人営業マン」のように顔が浮かぶまで具体化しつつ、同じ悩みを持つ人が100万人規模でいるかを確認してください。
類書がまったく見つからない場合は?
「類書がない」は、編集者にとって「市場がない」と同じ意味に受け取られることがあります。テーマが近い本、読者層が重なる本を探して挙げてください。書店の同じ棚を見るのが最も確実です。
「逆張り」はリスクが高くないですか?
根拠のない逆張りは危険です。ただ、あなた自身の経験に裏づけられた逆張りなら、それは主張ではなく「現場からの報告」になります。自分が実際に体験したことだけを、逆張りの材料にしてください。
自分の強みが、どうしても分かりません
それが普通です。強みとは「自分にとって当たり前になっていること」なので、定義上、内側からは見えません。人から何を質問されるか、何を頼まれるかを思い出すと、手がかりが見つかります。
3つの視点をさらに深めるために
① 読者の悩みを深掘りする
② 自分の強みを見つける
- 自分の弱点をいかに上手く見せるか|「大きく見せる」より「信頼される」ために
- ベストセラー著者があえて「カッコ悪いところ」を書く理由
- 趣味は商業出版のテーマになりますか?|「仕事×趣味」が最強の差別化を生む理由
③ 類書との差別化
- 「似たような本を出している人の中の1人」にならない差別化の工夫
- 今までの本にはない、新しい読者のメリットを考える
- ライバルの本をあえて読もう|「書かれていないこと」に大ヒットの種がある
- “振りきった主張”が読者の心を動かし「売れる本」を作る
- 一石三鳥の出版ノウハウ|「逆張り」があなたを輝かせる理由
難しいのは、3つを「重ねる」ことです
読者の悩み、自分の強み、類書との差別化。ひとつずつなら、時間をかければ書き出せます。
本当に難しいのは、その3つが交わる一点を見つけることです。読者のニーズに寄せると自分の強みから離れ、強みを押し出すと類書に埋もれる。この三すくみを一人で解くのは、かなり骨が折れます。
私たちの仕事は、まさにこの「重なりを探すこと」です。書き出したメモの段階でも構いませんので、一度お話を聞かせてください。オンラインでの個別相談を、初回無料で承っています。
採用される出版企画書の書き方
「悩みの深掘り」「強みの発見」「類書との差別化」という3つのポイントを整理できたら、それを出版企画書に落とし込んでいきましょう。
次のページでは、採用される出版企画書の書き方について、ご説明していきます。企画書テンプレートもありますので、よろしければお使いください。
