商業出版を実現させるためには、出版企画書が全てと言っても過言ではありません。

なぜなら出版社は、1冊の本に約300万円を投じるからです。その投資を引き出せるかどうかが、たった数枚の企画書で決まります。

今回は、「なぜ出版企画書が必要なのか?」「出版企画書に必要な3要素」についてお伝えします。

なぜ「出版企画書」が必要なのか?

商業出版において、出版社は1冊の本を世に出すために約300万円ものコスト(制作費、印刷費、広告宣伝費など)を投じます。

つまり、著者は「自分というコンテンツに300万円出資してください」とプレゼンする立場です。

出版社が知りたいのは、あなたの文章の美しさではなく、「その投資を回収できるほどのニーズが市場にあるのか?」という客観的な根拠なのです。

あなたはどのタイプ? 本の「3つの種類」

企画書を作成するうえで、自分が出したい本がどのカテゴリーに属するのかを理解しておかないと、ターゲットと表現のミスマッチが起こってしまいます。

書籍は、大きく3つのカテゴリーに分類されます。

  • 専門書:特定の専門家が、専門家に向けて書く本。読者は非常に狭い。
  • 実用書:「やり方(ハウツー)」に特化した本。今のビジネスパーソンに最も需要がある。
  • 一般書:専門知識がない大多数の読者に向けた本。ベストセラーになりやすい。

新人著者が狙うべきは「一般書」または「実用書」です。

本の種類 専門書・実用書・一般書の違い

どんなジャンルでもほとんど同じですが、プロ・セミプロと呼ばれる人の割合は全体の20%で、素人(初心者)が80%を占めています。

これを見るだけでも、専門書と一般書はどちらが多く売れやすいかは明らかです。

出版企画書を作成する時は、自分の専門性をそのまま出すのではなく、素人の読者にどれだけ寄り添えるかがポイントになります。

出版社に通る企画書「3つの絶対要素」

出版社に通る企画書 3つの絶対要素

出版社に「この本なら売れそう!」と思ってもらうためには、企画書は3つの要素をクリアしている必要があります。

要素チェックポイント
① 読者ニーズ「お金を払ってでも読みたい」という人が100万人規模で存在するか?
② 著者の強み「なぜ、他の誰でもなく、あなたが書く必要があるのか?」という説得力はあるか?
③ 類書との差別化「すでに書店にある似たような本」と比べて、読者にとっての新しいメリットは何か?

この要素を満たすために必要な方法は、出版企画の作り方のページで紹介しているので、こちらも合わせてご確認ください。

最大の敵「知の呪縛」

著者が最も陥りやすく、かつ致命的な落とし穴が「知の呪縛」です。

「知の呪縛」とは?
ベストセラー『アイデアのちから』の著者チップ・ハースらが提唱した概念。一度何かを知ってしまうと、「それを知らなかった時の状態」を想像できなくなり、他人に伝える際に説明を端折ったり、難解な表現を使ったりしてしまう心理的バイアスのこと。

著者はプロですから、「初心者が何が分からないのか」が分からなくなります。「これくらい常識だろう」と説明を省くと読者はついていけなくなり、本は売れません。

企画を作る時から「素人の目線まで徹底的に降りていく」と意識し続けることが必要です。

そして厄介なことに、「知の呪縛」にかかっている本人は、自分がかかっていることに気づけません。気づけるくらいなら、そもそも呪縛にはなっていないからです。

よくある質問

専門書・実用書・一般書、どれを狙うべきですか?

新人著者であれば「一般書」または「実用書」です。読者の80%は素人(初心者)であり、専門書は市場が非常に狭くなります。専門性が高い方ほど、あえて一般書を狙う価値があります。

読者は何人くらいいれば十分ですか?

目安として100万人規模です。「同じ悩みを持つ人が全国に何万人いるか」を具体的に見積もってみてください。数字で示せると、企画書の説得力が変わります。

企画書より先に原稿を書いてはいけないのですか?

おすすめしません。企画が通らなければ原稿は無駄になりますし、企画会議を通る過程でテーマや構成が大きく変わることも珍しくありません。まず企画書からです。

「知の呪縛」にかかっていないか、どう確かめればいいですか?

自分では確かめられません。その分野をまったく知らない人に企画を説明してみて、どこで相手の表情が曇るかを見るのが最も確実です。第三者に読んでもらうのが近道です。

専門性が高すぎて、一般書に落とせません

専門知識を薄めるのではなく、「その知識が読者のどんな悩みを解決するか」に翻訳してください。専門用語を使わずに説明できたとき、初めて一般書の企画になります。

準備の段階で読んでおきたい記事

出版の第一歩として

「自分の強み」をどう捉えるか

読者目線に降りるために

「知の呪縛」は、自分では外せません

この記事でお伝えした3要素のうち、①読者ニーズと③類書との差別化は、調べれば自分でも判断できます。

しかし、②著者の強みと「知の呪縛」だけは、自分では見えません。「当たり前だと思っていること」も「説明を省いてしまっていること」も、内側からは気づけないものだからです。

だからこそ、企画書を書き始める前に一度、第三者の目を通してみてください。オンラインでの個別相談を、初回無料で承っています。テーマが決まっていない段階でも構いません。

次のステップ:読者のニーズを深掘りしよう

出版社の企画会議を通る企画書を作成するためには、まずは「誰を、どのような方法で救いたいのか」を決める必要があります。

次回は、出版社に通る企画書の3つの要素(①読者ニーズ、②著者の強み、③類書との差別化)のうち、①読者ニーズについて詳しく解説していきます。

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