「本を書きたいけれど、書店に行ったらすでに似たような本が並んでいた」
「書きたいネタは出し尽くされている気がして、新しさが見つからない」
著者を目指す方、あるいは何冊も本を出しているベテラン著者の方からも、こうした悩みはよく伺います。
本を書くというのは、ある意味でもっともハードルの高い知的生産ですから、ネタが被ったり尽きたりするように感じるのは、ごく自然なことです。
しかし、ちょっとしたコツでこの悩みは解消できます。私が出版プロデュースを続けられている最大の秘訣、それは「光を当てる角度を変える」という手法です。
「テーマ」が同じでも「企画」は無限に作れる

そもそも、商業出版において「誰も書いたことがないテーマ」を見つけることは、現代ではほぼ不可能です。しかし、「誰も書いたことがない切り口」であれば、いくらでも作り出せます。
例えば、「時間術」というテーマを例に考えてみましょう。 すでに何百冊と類書が出ていますが、今からでもヒットを狙うことは可能です。
- ターゲットを絞る: 「多忙な経営者向け」ではなく、「家事と育児に追われるワンオペの母親向け」や「定年退職後の時間をどう使っていいか分からないシニア向け」へと光を当てる角度を変えるだけで、解決策の内容は全く別物になります。
- 「いつ」に光を当てるか: 朝の時間の使い方、夜の寝る前10分の過ごし方、あるいは週末の48時間をどう「リセット」に充てるか。
「誰の、どんな悩み」に光を当てるかをズラすだけで、既存のテーマは新しい見え方に変わるのです。
異なるテーマを掛け合わせる

私がよく提唱しているのが、複数のテーマの掛け合わせという考え方です。
一つのテーマだけで勝負しようとすると、どうしても類書に埋もれてしまいます。そこで、あなたの持つ別の知見を掛け合わせてみてください。
- 「医学 × 経営学」
- 「子育て × 心理学」
- 「ダイエット × 脳科学」
2つの異なる要素が交わるところに、新しい「切り口」が生まれます。
類書が「A」という正論を語っている横で、あなたは「Aという医学的根拠に、Bという心理的アプローチを加えることで、挫折率を○%下げる」という、より具体的で新しい解決策を提示できるのです。
常識を疑う「逆説」の提示

すでに類書に書かれていることが「常識」として定着しているなら、あえてその逆説を考えてみるのも一つの手です。
「努力は必ず報われる」という本が溢れているなら、「なぜあなたの努力は報われないのか?」という切り口を考えます。あるいは、「早起きが成功の鍵」と言われている中で、「夜型人間のための爆速仕事術」を提唱する。
これは単なる逆張りではなく、既存の方法で救われなかった「置き去りにされた読者」に光を当てる行為です。
世の中の「正解」で苦しんでいる人にとって、あなたの逆説的なアプローチが救いになる可能性があります。
「内容」ではなく「再現性」で勝負する

もし、あなたが「伝えたい内容自体は類書と同じだ」と感じていても、あきらめる必要はありません。
読者が求めているのは、高度な理論ではなく、「自分にもできそう!」と思えることだからです。
また、最近の出版業界は、読者の行動ハードルをどれだけ下げるかという「親切競争」になっています。
- 類書が「1時間の運動」をすすめているなら、あなたは「7秒の習慣」を提唱する。
- 類書が「専門用語」で語っているなら、あなたは「中学生でも分かる言葉」で翻訳する。
著者の役割は、難しいことを難しく語ることではありません。読者が一歩踏み出せるように、徹底的にハードルを下げる「思いやり」を形にすることです。
樺木宏からのメッセージ
「すでに誰かが書いている」というのは、裏を返せば、「そのテーマには市場があり、悩んでいる人がたくさんいる」という証拠でもあります。
あなたの書きたいテーマに、別の角度から光を当てたとき、「あなたにしか書けない一冊」が見えてきます。
「類書があるから……」と立ち止まるのではなく、「類書があるからこそ、自分はどう違う光を当てるか?」と考えてみてください。
