今回は少しマニアックな、商業出版の戦略についてお話しします。
出版業界には長年信じられてきた「セオリー」があります。それは、「本のテーマは、極限まで細分化すべき」という考え方です。
しかし、新人著者こそ、このセオリーを疑ってみると、通常難しいジャンルでの出版も可能性が見えてくるのです。
出版業界のセオリー:本のテーマは細分化するべき

例えば、健康という大きなテーマであれば、まず「ダイエット」に絞る。
さらにその中でも「運動によるダイエット」なのか「食事によるダイエット」なのか…というふうに、ターゲットを狭めていくのがセオリーです。
テーマを絞ることで、書店での置き場所(棚)が明確になり、競争力が上がるとされています。
そのため、著者に圧倒的な販売力がない限り、テーマを細かく分けるのが一般的な正攻法です。
なぜ「専門特化」は新人にとって危険なのか?

テーマを細かく分ければ分けるほど、その狭い領域にはすでに、何十年も研究を続けてきたベテランのライバルたちがひしめき合っています。
新人がその狭い土俵で真っ向勝負を挑んでも、なかなか勝機は見えてきません。
出版社からすれば、「実績のあるベテランに頼めばいい」となってしまうからです。
しかし、私が支援している著者さんたちの中には、単一の専門知識だけでなく、複数の要素を組み合わせることで強みが活きるタイプの方が大勢いらっしゃいます。
そのような方を、細分化された既存の枠組みに当てはめるのは、実にもったいないことなのです。
いくつかのテーマを組み合わせた企画

そこで私が提案するのが、セオリーとは真逆の「テーマの組み合わせ」という戦略です。あえて、いくつかのテーマを横断して1つの本に入れ込んでしまうのです。
考えてみれば、現実の世界は複雑に絡み合った複雑なものなので、1つのテーマだけでスッキリ解決できる悩みなど、むしろ少数派ではないでしょうか。
一人の著者の中に多様な知見があるからこそ、素晴らしいアイデアが生まれると思います。
学問の世界でも進む「統合」の波

実はこの「統合」という考え方は、最近は学問の世界でも主流になりつつあります。
例えば、心理学の分野。
かつては独立していた分野が、今では「心理学×脳科学」といった形で、境界をまたいだ研究が盛んに行われています。
異なる分野を統合し、視点を変えるさせることで、新しい発見や成果が次々と生まれているのです。これは出版企画においても、全く同じことが言えます。
私のベストセラーも「統合」から生まれました
かくいう私も、初めて自分の本を書いたときはこの方法を使いました。
「ねこ」という身近なテーマに、「心理学」を掛け合わせ、さらに具体的な「脳科学」や抽象的な「社会心理学」のエッセンスも統合したのです。
そうして生まれたのが『幸せになりたければ ねこと暮らしなさい』でした。
科学の専門家でもない新人著者が書いた本がベストセラーになった裏側には、こうした「セオリーを破る戦略」があったのです。
出版業界のセオリーを破って本を出す
商業出版にセオリーはありますが、それはあくまで「一般論」にすぎません。
もし、あなたが自分の強みを活かしきれていないなら、複数の知見を掛け合わせて、あなたにしか語れない新しい価値を考えてみてください。
セオリーを破ることで、今までにない新しい出版企画のアイデアが浮かんでくるかもしれません。
