出版企画書が完成してチェックも終えたら、次はいよいよ「出版社への提案」です。
出版社の門戸は広く開かれていますが、実はここにも、知らないと損をしてしまう「業界の慣習」や「戦略的な判断」が存在します。
今回は、出版企画書の提案時の注意点についてお伝えしていきます。
一度却下された企画は再検討されない

出版社の編集者は、日々膨大な量の企画に目を通しているため、一度「採用見送り」の判定を下した企画を、同じ編集者がもう一度検討することは、基本的にはありません。
そのため、「数打てば当たる」と考えて、未完成の企画を次々と送るのはとても危険です。
不十分な企画を送って「この著者の企画は通らない」という印象を与えてしまうと、将来より良い企画を思いついても、目を通してもらえないリスクがあります。
出版社に提案する前に、第三者の意見も聞き、現時点で最高だと思えるレベルまでブラッシュアップすることが、結果的に最短距離となります。
著者にとっての「良い出版社」を見極める基準

本を出す時は、「少しでもよい条件で、有名な大手から…」。そう思うのが人情ですが、実は「良い出版社」とは単純な知名度や規模で決まるものではありません。
規模の大きさは「埋もれるリスク」でもある
大きい有名出版社がいいかというと、実は一概には言えません。出版点数が多すぎる会社では、あなたの本が数ある新刊の中に埋もれてしまいがちだからです。
大切なのは、企業規模ではなく、「あなたの本をどれだけ重点的に扱ってくれるのか?」という点です。
極端な話、大手でその月に出る本の10番目の扱いになるより、中堅出版社で「今月のNo.1」として扱われる方が、販促の「後押し」は遥かに強く、結果として露出も売れ行きも上回るケースが多々あります。
出版社の「得意分野」が書店の棚を左右する
出版社には、長年の実績に基づいた「得意分野」があります。
そのジャンルに強い出版社は、書店の担当者との信頼関係が深く、一等地の棚を確保する力を持っています。
大きな総合出版社よりも、「あなたのテーマで実績がある専門出版社」の方が、業界内での信用も高く、ターゲットとなる読者に届きやすいのです。
あなたのブランディングを最大化するために、あなたのテーマに沿った「売るための棚」を持っている出版社を冷静に見極めましょう。
| チェック項目 | 判断基準 |
|---|---|
| ジャンルの実績 | その出版社から、あなたのテーマに近い本が出ていますか? |
| 営業・販促力 | その出版社の本は、書店の「目立つ場所」に置かれていますか? |
| 担当者との相性 | あなたのビジネスゴールを理解し、伴走してくれる熱意がありますか? |
「いま出すべき本」と「将来出すべき本」を分ける

「どうしてもこのテーマで本を出したい」という強いこだわりは、著者として素晴らしい資質です。
しかし、そのテーマがいま現在、市場性や著者の実績では難しい場合、無理に突っ込んでも企画は通らず、仮に通っても売れないという結果になりかねません。
そんなときは、「ハードルが高いなら、階段を作ればいい」と考えてみてください。
- いま出すべき本: あなたのこだわりと隣接しながら、より読者ニーズが多く、出版社が「出しやすい」テーマを提案する。まずはこれで著者としての「実績」と「販売力」を証明します。
- 将来出すべき本: あなたのライフワークや、より専門的で深いテーマ。これらは著者としてのブランドが確立し、ファンが増えた段階で出す方が、結果的に多くの人に届けることができます。
出版へのハードルが高いテーマは、将来の2冊目、3冊目で実現すると考えて、まずは「いま出すべき本」に集中することをおすすめします。
編集者に「一緒に仕事がしたい」と思われるために

編集者は、本づくりのプロであると同時に、一人の人間です。「編集者に嫌われる著者」になってしまうと、次へのチャンスは絶たれてしまいます。
編集者に敬遠される著者の特徴
- 読者に関係のないこだわり: 「自分が書きたいこと」を優先し、読者のメリットを考えない。
- アドバイスを拒絶する: プロである編集者の修正案を、プライドを理由に拒む。
- ビジネスパートナーとしての意識不足: 締め切りを守らない、連絡が遅い、一方的に依存する。
本を出す方は、普段は人に教える立場ですが、出版においては編集者と「売れる本を作るための対等なチーム」であるべきです。
編集チーム一丸となって、良い本を世に出していきましょう。
次のステップ:出版からのビジネス構築
企画書が通り出版が決まったら、あなたは念願の著者デビューを果たすことになります。
しかし、本を出すこと自体が目的になってしまうと、一過性の喜びで終わってしまいます。
大切なのは、出版という強力なツールを使って、どのようにあなたのビジネスを拡大させ、経済的・精神的な自由を確立していくかという「仕組み」の構築です。
次のページでは、印税を「おまけ」と考え、出版を起点にビジネスを最大化させる戦略について詳しくお話しします。
