以前読んだ本の中で、非常に感銘を受けた一冊があります。山口周さんの著書『ニュータイプの時代』です。
これから活躍できる人と、そうでない人の違いを鮮やかに論じた良書ですが、その視点は「著者」としての在り方にも極めて重要な示唆を与えてくれています。
特に私の心に深く刺さったのが、「問題は少なく、解決能力が過剰な時代」という一節です。
現代を支配する「ボトルネック」の逆転

山口周さんは、著書『ニュータイプの時代』の中で次のように述べています。
ビジネスは基本的に「問題の発見」と「問題の解消」を組み合わせることによって富を生み出しています。
20世紀後半の数十年間という長いあいだ「問題を解ける人」「正解を出せる人」は労働市場で高く評価され、高水準の報酬を得ることが可能でした。
しかしすでにメガトレンドの項目で説明した通り、このボトルネックの関係は、今日では逆転しつつあります。
つまり「問題が希少」で「解決能力が過剰」になっているということです。
過剰である「問題の解決」に対しては今後、これまでのような評価も報酬も与えられないということになります。
(山口 周『ニュータイプの時代』より引用)
この指摘は、現在の出版業界、そして「著者」という存在にもそのまま当てはまります。
書店に溢れる「過剰な解決策」

今の書店を眺めてみてください。読者の悩みを解決する本は、文字通り溢れかえっています。
同じような悩みに対し、同じような正解を提示する本が、無数にひしめき合っている。これこそが、山口さんの言う「解決能力が過剰」な状態です。
この飽和状態において、著者には次のような厳しい現実が突きつけられます。
- 評価の低下: 読者は「似たような本をもう読んだ」と手に取ってくれない。
- ブランディングの失敗: 企画が通っても、類書に埋もれて売れず、印税も入らない。
- 次のチャンスの喪失: 「売れない本」の実績が残ることで、次の企画が通りにくくなる。
これまでの延長線上で、既存の問題に「ちょっと切り口を変えた解決策」を提示するだけの著者は、残念ながら淘汰されてしまう可能性が高いのです。
「問題を発見し、提起できる人」が生き残る

では、これからの時代に求められる「ニュータイプ」の著者とはどのような人でしょうか。
山口さんは、「問題を発見し、提起できる人こそが評価される」と述べています。これを商業出版に置き換えると、次のようになります。
「いままでに無い読者の悩みを発見し、本で解決しようとする人」
「今このテーマが売れているから自分も書こう」と考えるのは、オールドタイプの視点です。
それに対して、ニュータイプの著者はこう考えます。
「今の人は、実はこんな新しい悩みを抱えているのではないか? 私自身も困っているので、解決法書きたい」
このような著者は、差別化されている上にニーズもあるので、今後も活躍し続けていくのです。
「解決能力」が飽和している世の中での出版
世の中の解決能力が飽和しているからこそ、あなたの個人的な問題意識には、これまでにないほどの価値があります。
みんなが知っている悩みに対する、みんなが言っている正解を書こうとするのは、もう終わりにしましょう。
この変化の激しい時代に、あなたが今後も活躍しつづけるための、参考になれば幸いです。
