商業出版で本を出そうと決めたとき、多くの方が真っ先に探すのが「出版企画書の書き方」ではないでしょうか。
あなたの本が出版できるかどうかは、出版社がその企画書を元に検討するため、確かに欠かせないツールであることは間違いありません。
しかし、実は「出版企画書の書き方」という形式だけを知ってもほとんど役に立たないのです。
今回は、多くの企画書を見てきた私が感じる「通る企画書」と「通らない企画書」の決定的な違いについてお話しします。
「書き方」という武器を自己アピールに使っていませんか?

私のもとには、毎月数多くの出版企画書が送られてきます。その中には、確かに構成が整っており、練られた文章で「書き方をよく勉強されているな」と感心するものもあります。
しかし、残念ながらその多くは、「自分のノウハウがいかに素晴らしいかばかりを語っている」のです。
つまり、出版企画書の書き方という方法を、自分をアピールすることに使ってしまっているのですね。これでは、企画が通る可能性は低くなってしまいます。
本は「紙とインク」を通じたコミュニケーション

そもそも本とは、「紙とインクを通じた読者とのコミュニケーション」です。
あなたの身の回りに、下記のような人がいたらどうでしょうか?
- 相手の話はあまり聞かない
- 自分の都合ばかり考えている
- 自分の自慢話や言いたいことばかりを延々と話す
こうした人の話を、わざわざお金と数時間もの貴重な時間を費やしてまで聞きたいと思うでしょうか?
答えは「ノー」ですよね。
特に商業出版は、お金を払って、かつ数時間もの時間を費やして読んでもらうものですから、企画が通る可能性が低くなるのは、当然のことなのです。
大切なのは書き方ではなく「考え方」

本当に大切なのは、出版企画書をどう埋めるかという具体的なテクニックではありません。その前段階にある「読者への向き合い方」こそが本質なのです。
具体的には、書式を埋める前に次のことを徹底的に考え抜く必要があります。
- 「誰に向けて書くのか」
- 「その人たちは今、どんな深い悩みを抱えているのか」
- 「その悩みを持っている人は、世の中にどれくらいいるのか」
こうした、相手を思いやる「考え方」のほうが、書式を整えることよりも何倍も大切です。
「思いやり」が編集者にも伝わる

読者への関心が深く、配慮された内容で、その背後に思いやりがある企画は、不思議と読んでいる編集者にも熱が伝わります。
すると、編集者や他の人から「この企画をもっと良くしたい」「ぜひこの人の出版を実現させ、著者になってほしい」という、周囲の応援する気持ちを引き寄せるのです。
その結果、当初の案よりもさらに磨き抜かれた素晴らしいものになり、晴れて出版決定へと至るケースを私は何度も見てきました。
出版企画書は書き方よりも「考え方」
出版企画書の書き方という形は、さほど重要ではありません。
いかに読者のことを自分のことのように考えられるか。その「考え方」の深さこそが、企画書の形よりも何倍も大切なのです。
テクニックに走る前に、まずはあなたの本を手に取る読者の顔を思い浮かべてみてください。
