著者を目指している皆さんは、日頃からアンテナを高くして、書店の棚を熱心に観察されていることと思います。

そんな皆さんに、一つお尋ねします。「最近売れている本は、色が薄い」ということに、お気づきでしたか?

「色が薄い」といっても、印刷のインクが薄いわけではありません。使っているのは昔と変わらぬ濃い黒色です。しかし、パッとページを開いた時の視覚的な印象が、以前よりも明らかに「白っぽく」なっているのです。

今回は、この色の薄さの理由と、そこから見える売れる本の戦略についてお話しします。

「色が薄い」の正体は「余白」

「色が薄い」の正体は「余白」

最近のベストセラーが「色が薄い」と感じられるのには、物理的・視覚的な3つの理由があります。一言で言えば、ページがスカスカになっているのです。

  • 文字量の減少:現代の一般書の文字数は、一説には「昔の児童書」と同じくらいだと言われています。物理的なインクの量が減れば、ページ全体の色は当然薄くなります。
  • 改行と空白行の多用:1ページの中にびっしりと文字が詰まっている本は激減しました。改行を多くし、空白行を設けることで、視覚的なストレスを極限まで減らしています。
  • 「ひらがな」の比率:漢字は画数が多いため、誌面を黒くします。一方、ひらがなは画数が少なく、誌面を白くします。あえて漢字をひらがなにする工夫が、色の薄さを作っているのです。

なぜ読者は「薄い本」を手に取るのか

なぜ読者は「薄い本」を手に取るのか

理由はいたってシンプル。読者が「ラクをして読みたい」と考えているからです。

今の時代、本を手に取るハードルはかつてないほど高まっています。スマホで短文を読むことに慣れた読者にとって、重厚で小難しく見える色の濃い本は、それだけで敬遠されてしまいます。

逆に、色が薄い本はパラパラと見た瞬間に「これなら自分にもすぐ読めそうだ」「時間がかからなそうだ」という安心感を与えます。

この「ラクそう」という第一印象こそが、レジへ運ばれるための決定的なフックになるのです。

あなたの原稿を「薄く」するチェック方法

売れる著者を目指すなら、自分の執筆した原稿を一度、遠目に眺めてみてください。

状態印象読者の反応
色が濃い専門用語が多い、漢字だらけ、行間が狭い「難しそう」「後で読もう」と放置される
色が薄い適度な余白、ひらがなの活用、図解がある「すぐ読めそう」「自分でもできそう」と歓迎される

もしあなたの原稿が「色が濃すぎる」と感じたら、次のようなブラッシュアップを試みましょう。

  1. 専門用語を避ける: 難しい言葉を一言で済ませず、あえて平易な言葉で説明する。
  2. 一文を短くする: 読点の代わりに句点を打ち、積極的に改行を入れる。
  3. 漢字を減らす: 難しい漢字を避けて、柔らかな表現に置き換える。

色が薄くなるようにブラッシュアップしていきましょう

商業出版における親切とは、あなたの深い知見を、読者がもっともラクに吸収できる形にまで磨き上げることです。

あなたの書いた原稿が、「色が薄い」ものになっているか。このシンプルで理にかなったチェック方法を、ぜひあなたの著者活動に取り入れてみてください。