今の時代、検索をすれば一瞬で情報が手に入ります。
さらに最近では、AIが膨大な知識を整理し、洗練された形で提案してくれるようになりました。知識を得るスピードと効率は、かつてないほど高まっています。
しかし、周囲を見渡してみてください。「情報が手に入りやすくなった分、以前よりも劇的に結果を出せる人が増えた」という実感はあるでしょうか?
実は、こと「商業出版」においても、AIを使えば誰でも本が出せるわけではありません。そこには、AIがどれほど進化しても埋められない人間ならではの設計が必要だからです。
なぜ「ノウハウ」だけでは人は動けないのか?

ネットやAIを使えば、出版のためのノウハウはいくらでも手に入りますが、ベストセラーを生むことの間には大きな溝があります。
その理由は、人は「具体的なやり方」を知っただけでは動けないからです。結果を出すためには、以下の3つのステップを順番に踏む必要があります。
人が結果を出すための3ステップ
- 感情の準備(心の状態): 「なぜやるのか」という意義を感じ、心のブレーキを外す。
- 考え方の納得(思考): 迷いや疑いを払拭し、「この方法でいいんだ」と腑に落ちる。
- 具体的なノウハウ: 実際にどう動くかという手順。
今のAIやネット情報の多くは「3」のノウハウに終始しがちですが、優れた商業出版の書籍は「1」と「2」の設計が驚くほど緻密になされています。
人に行動を促すことこそが、本というメディアが今なお優位性を持つ理由なのです。
AI活用の落とし穴:その企画は「読者の心」に刺ささるか?

AIは優秀なアシスタントですが、情報そのものを販売する「著者」という仕事において、頼りすぎは禁物です。
- 「思い入れ」と「親切心」の欠如: AIの回答は形が整っていますが、そこには読者への切実な思い入れや、身を削るような親切心が宿りません。そのままコピー&ペーストしたような言葉は、読者の心に深く刺さることはありません。
- 「平均点」の企画: AIが出す情報はWeb上の情報の「まとめ」です。独自性や新奇性が命である出版企画において、平均的な「まとめ」は平凡な企画と同義です。
AIに頼りきりになると、かえって読者に刺さる本から遠ざかってしまうリスクがあるのです。
出版でAIを活用する際の注意点

最近、AIを使って企画書を作成する著者さんが増えています。
そこで特に注意したいのが、「内容に関わらず、格好よく見えてしまう」という点です。
AIに指示を出せば、どんなに弱いコンセプトであっても、もっともらしい体系化を施し、見栄えの良い構成案を作ってくれます。
- 「内容は正しいし、見た目も綺麗だが、どこにでもある本」
- 「似たような本がすでにあり、後から出す価値が見当たらない」
このような、整っただけの弱い企画が量産されるのが今の時代です。
それは、いわば「見栄えだけ整えた自費出版」のようなもの。商業出版の厳しい門を叩くには、クオリティとして不十分です。
AIに振り回されず、逆に利用する

AIは万能のツールではなく、あくまで使う人の「企画力」を増幅させるツールです。結局は、AIを使う人の企画力に見合った企画が、でき上がるのだと思います。
AIが出してきたアウトプットに対し、「これは本当に読者が求めている新しさか?」「自分の魂がこもっているか?」と、厳しい目でダメ出しをする姿勢が欠かせません。
AIに振り回されず、逆に利用して「自分にしか出せない価値」をさらに磨き上げていきましょう。
